[第1局]○藤井聡太四段 vs 加藤一二三九段(大人気「ひふみん」伝説も解説!)

[第1局]○藤井聡太四段 vs 加藤一二三九段(大人気「ひふみん」伝説も解説!)

藤井聡太四段がプロ棋士としてのデビュー戦で勝利!

プロデビュー戦で勝利!

1.[第1局]藤井聡太四段の対局結果
2.デビュー戦が大きく取り上げられた理由
3.対局した棋士「加藤一二三九段」のエピソード

1.[第1局]藤井聡太四段の対局結果

[第1局]藤井聡太四段の対局結果は?

先手 ○藤井聡太四段
後手 ●加藤一二三九段(0.160)[164/C2]
(昨年度の勝率)[レーティング順位/順位戦のクラス] 
2016/12/24 第30期竜王戦 6組 ランキング戦 1回戦(棋譜)
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プロ棋士!藤井聡太四段の公式戦、プロデビュー戦です。

対戦相手はなんという偶然か・・
2017/06/20、竜王戦予選の対局をもって
62年10ヶ月の現役棋士生活引退が決まった
加藤一二三九段です。

藤井聡太四段のプロデビュー戦
この対局は一つの大きな家族のような世界・・
そんな将棋界を飛び出して
日本国中のニュースとして取り上げられることになりました。

お互いが選んだ戦型は
加藤一二三九段が最も得意とする「矢倉」。
プロデビューに至るまで、
藤井聡太四段は
矢倉戦法をほとんど指していません。




終局後のインタビューにおいて
念願の加藤先生との対局なので
教えを請うべく「矢倉」を選択した。
という藤井四段のコメントがありました。

プロ棋士は勝負に勝つことで
プロとしての活動が約束される反面
過去の実績、年齢を問わず、
負けが込んだ場合には
例外なく棋士を引退することになります。

その後、
加藤一二三九段の引退がかかった対局でも
対戦相手の高野智史四段(23)は
「矢倉」を選択しました。

将棋の対局において戦法というのは、
非常に重要な要素です。
戦いに勝つことが棋士の条件である以上
プロ棋士の将棋に対する研究は
膨大な量に及びます。

現在、プロ棋士の対局において
「矢倉」の戦型はほとんど見られません。
現代の将棋界における研究課題は
「矢倉」ではないのです。




自身の研究が及ばない戦型を選ぶというのは
専攻課題とは違う選択をするということ。
あまりにも膨大な変化がある
将棋の戦術において
それぞれの棋士に得意戦法があることは
当然のことなのです。

藤井聡太四段が加藤一二三九段との
プロデビュー戦に「矢倉」を選択した瞬間
胸が熱くなった将棋ファンも多かったのでは
ないでしょうか?

若手が大先輩に対して「矢倉」を選ぶというのは
経験を積んだ先輩棋士の土俵
数十年に及ぶ経験と研究に真っ向から挑むということなのです。

いざ勝負。
棋士・藤井聡太四段がデビューした瞬間です。

(40手目・5三角まで)

下馬評以上の指し回しを見せた
藤井聡太四段の快勝です。
(投了図・111手で藤井四段の勝ち)




この対局からプロ棋士生活をスタートした藤井聡太四段。

この後、14歳の彼が
日本中を巻き込むほどの将棋旋風を起こすとは・・
誰もが予想出来なかった。
・・と言いたいところですが、
古くからの将棋ファンには
ちょっとした予感があったのかもしれません。

棋譜を見るとその頭脳の凄さがわかる。
藤井聡太四段の秘めたる実力は
凄まじいものだったのです。

2.デビュー戦が大きく取り上げられた理由

デビュー戦が大きく取り上げられた理由は?





将棋界の歴史上、現役最年長棋士 vs 現役最年少棋士
(76歳 vs 14歳)

②お互いがデビュー時から類を見ない無二の天才と呼ばれた2人

将棋の歴史上、5名しかいない中学生でのプロデビュー棋士同士の対局
(他の3名は、谷川浩司・羽生善治・渡辺明)

14歳7ヶ月という最年少プロデビュー記録を持っていた加藤一二三九段

62年ぶりに記録を更新した、14歳2ヶ月でプロデビューする藤井聡太四段

⑥プロ棋士も参加する詰将棋解答選手権3連覇(2015・16・17年度)藤井四段の実績

好対象なキャラクター
(・・とは言っても将棋への純愛・情熱という感覚は重なるような熱さのお二人)




2.対局した棋士のエピソード

今回の対戦者「加藤一二三九段」にまつわるエピソードをご紹介します!

加藤一二三九段といえば、バラエティー番組でもお馴染み!といった感じですね。

200名ほどいる男子プロ棋士の中でも、知名度の高さで言えば・・

1・羽生善治さん
2・加藤一二三さん
3・藤井聡太さん

こういった感じではないでしょうか?

現在ではお笑いキャラといった加藤一二三九段ですが、将棋の歴史において数々の伝説を残しています。

▼【タイトル獲得歴

・名人 1期(第40期-1982年)
・十段 3期(第7期-1968年度・19期~20期)
・王位 1期(第25期-1984年度)
・棋王 2期(第2期-1976年度~3期)
・王将 1期(第28期-1978年度)
タイトル戦への登場回数 合計24回
タイトル獲得合計8期 (歴代7位)




▼【将棋史に残る記録

・最年少棋士 14歳6ヶ月
(藤井聡太四段に破られるまでの63年間。歴代1位)
・王将リーグ入り 16歳
・最年少での順位戦A級昇級 18歳
・62歳までA級在位(歴代2位)
・順位戦A級優勝 20歳
・最年少での名人挑戦 20歳
・最年少でのA級陥落 21歳
・A級順位戦対局数313局(歴代最多)
・A級順位戦において149勝(歴代最多)
・順位戦四期連続昇級(史上初)
(全ての順位戦昇級における最年少記録を保持)
・A級以上通算36期(史上2位)
・棋士現役活動62年(歴代1位)

▼【加藤一二三九段を評した棋界の偉人

米長邦雄永世棋聖
「将棋をより極めるところまでいけるのは、やはり加藤さんだろうと思う。」

中原誠十六世名人
「加藤さんは、長考してる時は何も読んでないけど、一分になるとものすごく読んでるんだ」長考よりもむしろ秒読みのときのほうが読みが鋭い」
「加藤さん相手だと、95点以上の手をさし続けないと負ける。加藤さんは90点以上の手を差し続けてくるから。
米長さんや大山さんだと、80点でも勝てるときがあるけど、100点の手でも負けることがある」

羽生善治三冠(永世六冠資格保持者)
「加藤先生の場合は相手を見ずに盤面しか見ていない。」

「あそこまで同じ戦法を貫かれると不気味ですらある。普通、研究され対策されることを考えると、
一つの戦法をとり続けることは、一つの行き方ではあれ現実に実行する人はほとんど居ない。しかし加藤
先生に限っては、全くそれを恐れていないようだ」




▼【加藤一二三九段の伝説といえば・・

・対局時の昼食と夕食はほとんどが「うなぎ」です。
(特に昼食に関しては30年間うなぎを連続注文した期間あり)
・神武以来の天才と呼ばれる
・一分将棋中にもトイレに立つ
(中原誠十六世名人との対局中、中原先生の手番の瞬間で急いでトイレに行こうとしたところ、「加藤さん指しますよ」と声をかけられて即座に戻った経験あり。)

・米長永世棋聖とのタイトル戦で、対局場の庭園に流れている「滝を止めてくれ」と要望。
・買いものに出掛けても、将棋の事を考えていて何を買うのか忘れる。
・三浦弘行九段と「冷房のスイッチ、オン・オフ合戦」を繰り広げる。
・ネクタイが異常に長い、「人から見て長く見えるのはわかっています。でも自分ではまだ短いように思うのです。」戦いに挑む闘志の現れとのこと。実際は、長くネクタイを結んだ時に素晴らしい対局が出来たことから弦を担ぎ続けている。

・中原名人との名人戦において、中原名人玉の詰み筋を発見して「ウヒョー!」と叫んでしまった。
(この時、中原名人は自玉の詰み筋に気が付いていて、加藤さんの顔色が変わっていくのがわかったそうです。2017年6月20日中原先生ご本人談)

・テレビ中継されている「銀河戦」で一旦は「不成」として手から離れた桂馬を、即座に「成り」と指し直し。対局相手から、それは「待った」だとして争った結果、銀河戦は出場停止となる。
・モスグリーンの座布団はダメ、この色を目にしていると闘志が沸かない。「緑は平和の色だから」ご本人談。
・森内名人と、車内で1時間一緒に移動しても会話なし。
・羽生先生と、同じ電車で移動する時に2時間しゃべりっぱなし。
・娘からは「パパ様」と呼ばれている
・大のネコ好きとして有名
(近隣住民の方々と意見の相違により係争したことあり。野良猫の餌付けが問題であったが、その期間にも私費によって去勢手術・避妊手術を施し続け、現在では問題は解決している。)
・おやつとして板チョコ10枚を食べた。
(対局中に板チョコレートとチーズ(カマンベール)を食べまくるのは有名です。)

数々の伝説を残した加藤一二三先生。
今後とも益々のご活躍を祈念します!